大迫傑選手讃歌 文化あみだくじ4

20211017 昼

 

(10月16日から続く)

青山といえば、私が普段関わっている若者たちにとっては、田中みな実さんや新井恵理那さんを中心とした女子アナウンサーのイメージが強いようです。一方、先日の出雲のように、駅伝の青山学院にも憧れの目が向きます。とはいえ、今年は新鋭の東京国際大学さんの年とはなりましたが。

 

先日競技者として引退を発表した大迫選手などは独立独歩の道を行かれましたが、ここ十年来は、箱根駅伝は青山学院の時代でしたね。ただ、この箱根駅伝が、創始者の金栗さんの意図を脱線して、日本の長距離走者の才能をそこで食い潰しているように見えるという批判もあります。あの、登り坂と下り坂が別の走者によって走られるシステム、それから過度なマスコミの盛り上がりによって、若い選手たちの人生のピークがそこに来てしまう充実感、その後の燃え尽き症候群化が問題であるのだろうという声は、おそらく正しいのでしょう。

 

思えば、長距離走者はその孤独が見る者の胸をうつもので、現在のスペクタルぶりは、やはり不健康なのかもしれません。

 

そういう視点で見ている私にとって、やはり大迫傑さんは、素晴らしいランナーでした。

駅伝シーズンの始まりに、改めて大迫選手に感謝します。

 

 

 

 

ジョン・カサヴェテスの刺激 文化あみだくじ3

20211016 夜

 

ジョン・カサヴェテスの映画を観たのは、大学の仲間うちでは私が一番遅かったはずです。いろいろ予定が合わず、友人たちがうちのめされて帰ってくるのをさんざん見たあとで、「FACES」を観に青山か六本木に駆けつけました。

なんだかよくわからないけど、圧倒された時間でした。

以来、その時のカサヴェテス・シリーズは全て、それもできるだけ複数回駆けつけ、結果、「これを超える映画なんてないだろう!」と思うほど、全ての作品にやられました。

私にとっては、特に「こわれゆく女」のインパクトが大きかった!

あのジーナ・ローランズの見事さ!

ピーター・フォークも素晴らしかったですが、私にとっては、あのジーナは、母の面影に重ねて(と言っても、私の母はあんなに美しくないですが)みていました。

 

今でも、「気狂いピエロ」、「ツィゴイネルワイゼン」、「セリーヌとジュリーは船で行く」、「浮雲」、「丹下佐膳余話 百万両の壺」などと並んで、いや、それを越えて大好きな映画です。

 

人が人として、普通の人生でぶつかり続ける困難を描く、それ自体が映画であり、人生であること。それこそ、カサヴェテスが教えてくれたことでした。

 

そして私も、ハイエイトのビデオを手に、仲間たちと数本の映画を作ったのです。

 

 2021年10月16日

  藤谷蓮次郎

 

林芙美子のえげつなさ

20211015 夜

 

林芙美子の下品さを批判する向きもありますが、もしそういう方が左翼なら、私はその人を軽蔑します。

芸術の才能の唯物論が、お分かりになっていないからです。

頼るものがないから、自分自身を傍若無人に押し出して行った作家が、ここにいるのです。

 

明日も林芙美子論を、私のアメブロは、続けます。

 

 藤谷蓮次郎

  2021年10月15日

青山南さんの講義 文化あみだくじ2

20211015 夜

 

(10月13日より)

青山南さんと言えば、私の大学生のころ、他のクラスではありましたが、英語の授業をもっていらっしゃいました。

友達によると、大変イタズラな講義で、今なら問題になりそうなこともあったとか・・・。ずいぶん昔の話で、しかも聞いた話なので、間違っていたら、ごめんなさい。

 

私にとっては、英語の翻訳紹介で大変勉強させてもらった方で、ケルアック以外にも、いろいろ翻訳を読ませてもらいました。信頼できる翻訳家だと思っていたものですが、後年、私の最も敬愛する詩人の一人、長田弘さんとご兄弟と伺って、何か腑に落ちる気がしました。

 

青山南」というと、私が普段一緒にいる若者たちは、斎藤茂吉の青山脳病院があった東京の青山、多くの女子アナウンサーを産み出した青山学院大学のある地名、私が大学時代に六本木でジョン・カサヴェテスの映画を見たあと毎回立ち寄ったABCのある青山を思うようですが、こちらの青山さんには、今後もいい翻訳を期待しています。

 

 藤谷蓮次郎

  2021年10月15日

 

 

スターの孤独? 「沢田研二」の不可解さ

20211014 夜

 

今日のアメブロは、「今 僕は幸せです」の五曲目でしたが、ここでのジュリーの孤独は、さて、本音でしょうか?

演出でしょうか?

私の考えは、アメブロに書いた通りです。

やはり、沢田研二さんという人は不可解です。本当のスターなのでしょう。

 

明日からは、林芙美子論の続きです。

よろしくお願いします。

 

 藤谷蓮次郎

  2021年10月14日

内田派分派沢田一家ジュリー

20211013 夜

 

今日の私のアメブロは、「今僕は幸せです」の四曲目「湯屋さん」をとりあげました。

 

沢田研二さんによる内田裕也さんいじりですが、かつてジュリー本人が言っていたように、師匠もいない自分だが、師匠のような存在は「内田裕也さん」で、言わば「内田組分派沢田研二みたいなもの」という敬愛が込められた、明るく剽軽なロックンロールです。

 

この一曲がこのアルバムに入っていてよかった。なかったら、地味すぎるでしょう。ユーモラスだし。

 

明日は、五曲目をとりあげます。

 

 藤谷蓮次郎

  2021年10月13日

 

 

ケルアックの放浪 文化あみだくじ1

20211013 昼

 

昨日このブログで予告した通り、本日、若者たち相手に、ロバート・フランクについて、話させてもらいました。あまり興味のなさそうな方もいらっしゃいましたが、なんとなくお付き合いしてもらった感じです。

 

1950年代後半のアメリカ。序文を寄せているケルアックの存在は、重要ですね。ずっと福田実訳だったところに、十年ほど前に青山南訳も加わりました。ビート・ジェネレーションは、現代の若者の心から大きく離れたのかもしれませんが、佐野元春からビートに遡った我々世代への影響はとても大きいものがありました。

 

大学時代、不自由な英語で、「オン・ザ・ロード」と「サブタレニアンズ」を私は読みましたが、私は特に「サブタレニアンズ」の方が好きでした。若い男女のロマンスであり、自尊心の高い彼らの恋の破綻が、とても身につまされた感じでした。佐野元春の一枚目のアルバムに収録された「さよならBABE」「BAD GIRL」などに繋がる世界でもありました。

 

私はなぜか、「愛(アメリカ)を求めて放浪するケルアック」より「愛(理想的な男女の愛を生み出すアメリカ)を喪失するケルアック」が、今も好きです。

 

ケルアックとロバート・フランクの繋がりならばすぐに想起される「プル・マイ・デイジー」という短編映画も、確か佐野元春が関わっていたビート・ジェネレーションのイベントで観たと思いますが、たしかジャズ・パーティーの場面があったことを、かろうじて覚えているくらいです。

 

 藤谷蓮次郎

  2021年10月13日