アルバム「TOKIO」についてのまとめコメント
20210603 夜
今日まで続けてきた企画、アルバム全曲アプローチの第一弾・沢田研二さんの『TOKIO』について、全十曲。本日、完走しました。今までお読みいただいた皆さん、ありがとうございました。
今回の企画を通して、私なりにアルバム『TOKIO』の一曲ずつについて、今の時点で聴き返して感じたこと、思ったことを書いてきました。私にとって、自分が好きな音楽や芸能、芸術について書いてみることは何よりの喜びです。なので、この企画の最初に、自分が初めて買ったLPレコードを取りあげるのは、自然なことでした。歌手として、多分野にわたるパフォーマーとして、そして一人の人間として、沢田研二さん、「ジュリー」さんという人は、常に憧れであり、自分の人生が見ている北極星のような人です。彼のアルバムについて思い出し、何が語れるか考えてみて、少しずつ文字にする作業は、苦しさと楽しさがありました。
アルバム『TOKIO』自体は、明確に過渡期の作品だったように思います。沢田さん自身と製作スタッフが、三十代を迎えた「スーパースター・ジュリー」をどう活かしていこうかと全力で摸索しているのを感じます。スージー鈴木さんが言う、80年代ジュリーの飛躍は、この手探りから掴まれた糸で織りなされたのだと思います。そういう意味で、迷う時というのも人生には大事だと教えてくれる、この時期のジュリーです。
とはいえ、少し途中でダレたのも事実です。今から考えると、歌謡曲の枠内にあるアルバムという意識が強かったのか、曲としては中途半端な印象を受けるものもありました。
特に詞は、阿久悠さんの世界観を他の作詞家の方達も反復した感じになっていて、魅力が少ないです。逆に言うと、たった一曲「TOKIO」の振り切り方で、ジュリーの未来像を変えるインパクトを与えた糸井さんは、このころは本当に勢いがあったのでしょう。
しかし、不完全燃焼のままでは終われないと思い、ジュリーでもう一枚続けてアルバム全曲アプローチを続けます。今度は、ロック・サイドに大きく振った傑作『G.S I LOVE YOU』を取りあげます。このアルバムなら、今でも心から全ての曲を楽しんで聴けるからです。
また、勝手なことを書きますが、よかったらお読み下さい。また、ご批判も下さい。
さて、実はこのアルバム全曲アプローチを通して、もう一つ発見したことがありました。今までこのブログと、アメブロの「Jビート~~藤谷蓮次郎のブログ」をお読みいただいた方々はお気づきのように、私はもともと、言葉の人間です。音楽を聴いても、そこで歌われている言葉への感心が先行し、印象としても中心化します。
ところが、私は今回、ジュリーを聴き直しているうちに、言葉ではなくむしろアレンジによって、ジュリーの魅力が最大化する曲を幾つか発見しました。
「このアレンジ、すごいや! ジュリーの歌うメロディーが最高にかっこよくなってる!」 そう感じたのです。詞に関して、あまり惹きつけられなかった曲が、グーンと魅力的に 思えてきたのです。
というわけで、来週は、月・火の単発の「Jビート」も、ジュリーのシングル曲二曲を扱います。それぞれのアレンジャーたちに敬意をこめて、書きます。
ぜひ、お読み下さい。
最後にもう一度。
アルバム全曲アプローチ第一弾、沢田研二『TOKIO』について、お楽しみいただき、ありがとうございました。
一枚のアルバムはアルバムとして楽しむのが本筋だと思いますが、この十曲の中の私が思うベストトラックの三曲を挙げておきます。
・TOKIO(アルバム・バージョン)
・ロンリー・ウルフ
・コインに任せて
前の二つは文句なしですが、最後の「コインに任せて」は「アムネジア」と争います。が、「アムネジア」はやはり好き嫌いが分かれると思いますので、あっさり聴ける「コイン」を選びます。
藤谷蓮次郎
20210603